夜明け前、ホテルのベッドで【第一部:再会の夜に】
深夜0時を過ぎた新宿の裏路地。喧騒の中に紛れて、私は彼女と5年ぶりに再会した。大学時代のサークル仲間。かつて一度だけ、手を繋いで終わった関係。あれからお互いに恋人もできて、別れて、忙しくなって──でもなぜか、彼女のことは忘れられなかった。
「久しぶりだね、こんなに近くで顔見るの」
彼女はそう言って、カクテルを一口飲んだ。赤く光るグラスの縁に残ったリップの跡が、妙に生々しくて目が離せなかった。
駅前のバーを出た後、言葉少なにタクシーに乗った。どちらからともなく「もう少し話したいね」と言い合ったけれど、それが意味することは分かっていた。
ホテルの部屋にて
白いシーツ、間接照明、少し乾いた空気。部屋に入ると彼女はコートを脱いで、ベッドの縁に腰を下ろした。
「……緊張してる?」
「いや、してるのはそっちでしょ?」
軽口を交わすふりをして、お互いの視線は既に熱を帯びていた。私はゆっくり彼女の前に座り、指先でそっと頬に触れた。
「変わらないね、こういうところ」
「そっちこそ、ずるいくらい大人になったじゃん」
ゆっくりと触れ合う
彼女の髪に指を滑らせながら、唇を重ねた。初めてキスをしたときの、あの微かな震えがまだそこにあった。彼女は目を閉じたまま、小さく息を吸い込んだ。
唇が離れた瞬間、彼女は自分から首筋に頬を寄せてきた。吐息が肌をなぞるたびに、背筋がわずかに震えた。
「……覚えてる? あのときも、最後までいかなかったよね」
「うん、でも今夜は──」
返事の代わりに、彼女の手が私のシャツのボタンに触れた。
服を脱がせ合う時間
静かな部屋に、布が擦れる音だけが響く。彼女のブラウスを脱がせると、レースの下着がわずかに胸元を飾っていた。派手すぎず、でも確実に誘ってくるような色気があった。
「その下も、見ていい?」
「……ばか」
でも、彼女はそっと頷いた。
夜明け前、ホテルのベッドで【第二部:乳房と吐息のあいだで】
レースの奥に隠されたもの
彼女の頷きは、静かで、それでも強い意思を感じさせた。私はそっと肩紐に指をかけて、ゆっくりと下ろした。レースのブラが、胸の丸みを形作るように貼りついていた。
「あまり見ないで……」
「でも、きれいすぎて目が離せない」
彼女の顔が赤く染まる。私は軽く笑って、背中に手を回し、ホックを外す。小さくカチリと音がして、彼女の柔らかな胸が露わになった。
舌先が描く曲線
形の整った乳房は、まるで手のひらに収まるために存在しているかのようだった。私はそっと片方の乳首に唇を寄せ、舌先で円を描くように刺激する。
彼女は小さく息を呑み、肩をすくめた。
「そんな……いきなり……」
もう片方の乳首に親指を当てながら、唇を交互に動かしていく。舌でなぞったあとは、唇で甘噛みし、また軽く吸い上げる。
「んっ……」──堪えきれない吐息が漏れた。
呼吸が交じる熱
彼女の体温が少しずつ上がっていくのが、肌越しに伝わってきた。背中を撫でながら、もう一度乳房に口づけると、彼女は指先で私の髪を掴んだ。
「そんなに見られると、恥ずかしい……」
「いや、もっと見せてほしい」
私は彼女をベッドに仰向けに寝かせ、下から胸元を見上げるようにして舐め上げた。唇の端から、舌先で乳房の下をなぞる。微かな汗と香水の混ざった匂いが、官能をさらに際立たせる。
吐息と甘い震え
彼女の息遣いは、徐々に浅く、速くなっていく。私の頭を抱き寄せる腕が震えている。まるでその震えが、心の奥まで伝わってくるようだった。
「もっと、舐めて……」
囁くように言われて、私は強く吸い上げた。彼女の背中がビクンと反応し、思わず私の名を呼ぶ。
言葉を交わせないほどに
官能の熱が、もうお互いを理性の外へと導いていた。彼女の乳房は濡れた唇に艶を帯び、乳首は敏感に立っていた。私はそこに口づけながら、手は彼女の太ももへと移っていく。
「……そこは、まだ……」
夜明け前、ホテルのベッドで【第三部:脚の奥、湿った熱の気配】
触れずに感じる場所
彼女の太ももに触れたとき、わずかに震える筋肉が指先に伝わった。その反応は、明確な拒絶ではなく、期待と不安が混じった沈黙だった。
「まだ、早い……?」
「……少しだけ、怖いだけ」
彼女の言葉に、私は手を止めた。無理強いはしたくない。ただ、彼女が心を許してくれたときに、そのすべてを受け取りたい。だから、私は指を彼女の太ももから膝へと下ろし、優しく撫でるだけに留めた。
甘く、焦らす
「もっと焦らして、意地悪に触れて……」
まるで読み取られたかのように、彼女が自分から言葉を紡ぐ。その声音が、かえって火照った空気を煽った。
私は太ももにそっとキスを落とし、膝裏まで唇でなぞる。ベッドの軋む音と、彼女の細く漏れる吐息だけが部屋に響いた。
そのまま脚の付け根近くまで唇を運ぶと、彼女はシーツを掴んで身をよじった。
濡れ始めた下着
レースのショーツは、薄く濡れ始めていた。触れなくても、その熱と湿り気が視線越しに伝わってくる。
「……見ないで」
「だめ。見たい」
私は下着の上から、舌を這わせた。レース越しの柔らかい感触が舌先に伝わり、彼女の体がピクリと反応する。そこは、明らかに欲していた。
舌の動きに合わせて、彼女の腰が微かに揺れる。その動きが、すべてを語っていた。
口で感じさせる
私はショーツの脇に指をかけ、ゆっくりと下ろした。彼女は目を伏せて、震える声で「優しくして」とだけ囁いた。
その一言で、私は一層慎重に、舌を忍ばせた。
濡れた花弁をそっと開き、舌先で繊細に触れていく。クリトリスの位置を確かめながら、円を描き、時に上下に震わせる。
「んっ……やだ、そんなの……っ」
恥じらいと快感が混じった声。腰が逃げるたびに、私は彼女の脚を押さえ、奥まで舌を滑り込ませた。
本気の悦びへ
やがて、彼女の呼吸が激しくなり、喉の奥からかすれた声が漏れるようになった。「イきそう……」と掠れた声を聞いた瞬間、私は舌の動きを早めた。
何度も、何度も、敏感な場所を叩くように舌を押しつける。すると彼女の腰が跳ね、声にならない叫びとともに、体が大きく震えた。
「あっ……だめ……もうっ……!」
彼女は両脚を私の頭に絡めるように閉じ、震えたまま、しばらく動けなかった。
彼女の声が震えた。でも、その目は拒んでいなかった。
夜明け前、ホテルのベッドで【第四部:貫く熱、交わる衝動】
挿入までの間合い
彼女の震えは、快感と不安がないまぜになった本能の反応だった。私は指先で花弁の内側をなぞりながら、もう片手で彼女の頬を撫でた。
「怖かったら、やめるよ」
「……怖いけど、やめたくない」
その一言が、決定的だった。私は自分のモノをゆっくりと彼女の入り口へ当て、わずかに押し込んだ。熱い粘膜が絡みつき、体の奥へ導かれていく。
ゆっくり、深く
「っ……あ……っ」
最初の摩擦に、彼女は声を漏らす。私は深呼吸するように動きを止め、彼女の表情を見つめた。
「……大丈夫」
頷いた彼女の額に口づけてから、ゆっくりと奥へ押し進めた。濡れた奥が徐々に受け入れ、最後まで埋まったとき、彼女の指が私の背中にしがみついた。
体位を変えながら
彼女の太ももを持ち上げ、角度を変えて再び腰を打ちつける。肌がぶつかる音、濡れた粘膜が絡む水音、そして絶え間ない吐息が、室内に淫靡な空気を満たしていた。
「もっと……奥、当てて……」
「いいよ。全部、感じて」
彼女の両脚を肩に乗せ、さらに深く挿し込む。奥へ届くたびに、彼女の声が高くなる。
交差する目線と熱
私は彼女と視線を合わせたまま、何度も腰を前後させた。汗ばんだ額、潤んだ目、濡れた唇──すべてが生々しく、美しかった。
「こんなに……奥まで……っ、ダメ……」
「でも、イきたいんだろ?」
私はピストンのリズムを早め、彼女の敏感な内壁を擦り上げるように突き上げる。声にならない嬌声が漏れ、彼女の脚がびくびくと震えた。
絶頂と静寂
「イく……っ、やだ、もう……止まらないっ……!」
最後の一撃を深く押し込んだ瞬間、彼女の全身が跳ね、内側がきゅっと締まった。その収縮が私にも限界を知らせ、私は彼女の中に絶頂を迎えた。
「……んっ……」
しばらくそのまま抱きしめ合い、何も言わずに静かに呼吸を整える。
部屋にはまだ夜の余熱が残り、肌と肌の温度が溶け合っていた。
夜明け前、ホテルのベッドで【第五部:朝焼けに包まれて】
静かに絡まる指
絶頂のあとの静けさは、どこか神聖ですらあった。彼女の汗ばんだ額に軽くキスを落としながら、私はゆっくりと体を引いた。
「……ごめん、強すぎたかも」
「ううん、すごく……よかった」
彼女は潤んだ目でそう答え、私の指をそっと握った。絡まった指と指が、小さく温かく、心の奥に染みていく。
裸のままの会話
「ねえ……こんなに心まで裸になるなんて、思ってなかった」
「俺も。エッチって、ただの行為じゃないんだなって思った」
彼女は少し笑いながら、ベッドのシーツを引き寄せて体を隠した。私はその布越しに彼女の手を撫で、唇で甲にキスをした。
カーテンの隙間から、うっすらと朝日が差し込んできた。ホテルの部屋が、ほんの少しだけオレンジに染まりはじめていた。
名前を呼び合う意味
「ねえ、もう一度、名前呼んで」
「……美咲」
彼女はその名を聞いて、胸に顔をうずめた。こんなに誰かの名前を大事に呼んだのは初めてだった。名前一つで、こんなにも愛おしくなるなんて。
「好きだよ」
「……私も」
その言葉を交わした瞬間、体の奥からまた熱が芽生えそうになったが、今はただ静かに、朝を迎えたかった。
シャワーとぬくもり
一緒にシャワーを浴び、互いの背中を流し合う。泡立てたボディソープを彼女の背中に滑らせると、くすぐったそうに肩をすくめた。
「昨日までの自分とは、なんだか違うみたい」
「俺も……。心が、ちゃんと開けた感じ」
シャワーを終えたあと、バスローブを羽織ったままソファに並んで座り、コーヒーを飲んだ。言葉は少なかったが、その沈黙は心地よいものだった。
ホテルを出る前に
チェックアウトの時間が近づくにつれて、名残惜しさが胸を締めつける。彼女が荷物をまとめながら、ふと振り返ってこう言った。
「また、来ようね。今度は……もっと長く」
「うん。次は二泊くらいして、夜も朝も、もっと一緒にいたい」
そんな約束が、まるで夫婦のようで、くすぐったかった。
未来へ続く温度
ホテルを出たあと、駅までの道を手をつないで歩いた。日曜の朝の静けさと、彼女の温もりが混ざり合って、心が落ち着いていく。
「今日は、ありがとう」
「こっちこそ。……幸せだった」
そのままホームまで見送り、電車の扉が閉まる直前、彼女がガラス越しに唇を動かした。「大好き」──私はそれを、声に出さずに「俺も」と返した。
ホームにひとり残った私は、昨夜の余韻とともに立ち尽くした。こんな恋を、また繰り返していけたら。そう願いながら、次の列車を待った。
夜明け前、ホテルのベッドで【第六部:その後のふたり】
日常の中の余韻
あの夜から数日が経った。忙しい日常が戻ってきても、ふとした瞬間に彼女との一夜が蘇る。
信号待ちのとき、ふたりで並んだ歩道。カフェで流れていたBGM。そんな些細な場面に、彼女のぬくもりが重なる。
次の約束
「また、来週空いてる?」
「うん。土曜日、会いたい」
そんなやり取りを重ねながら、私たちは少しずつ「恋人」になっていった。ただ一度身体を重ねたからではない。そのあとも、お互いを思い合い続けたからこそ、距離が縮まったのだ。
あの夜の意味
あの夜は、たった一度の出来事ではなく、始まりだった。彼女を知り、触れ、確かめた時間が、今のふたりを支えている。
夜明け前に交わしたキスも、朝の光に溶けた視線も、今でも鮮やかに胸に残っている。
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